血液型と腸との不思議な関係
血液型で免疫力に差が
日本人は「血液型」の話が好きです。たとえば、A型の人は「几帳面」、B型は「自由奔放」、O型は「大ざっぱ」、AB型は「二重人格」というように。これについて科学者の多くは否定的です。「血液型は血液中のタンパク質が影響しているから、性格とは関係なし」だと。
でも、これらの学者は、人の血液型を決める「血液型物質」がどのようなもので、どのように出現してきたかを知らないのかもしれません。
私としては、血液型によって性格が決まることがあってもよいと思っています。これは血液型占いを信じているからではなく、免疫学者としての観点からの考えです。
たとえば、A型はさまざまな病気に比較的かかりやすい傾向のグループです。ゆえに「慎重で用心深い」「几帳面で神経質」という性格なのかもしれません。
一方、O型は、免疫力が強いグループ。開拓者魂があるため主張が強い性格。
B型はO型の次に免疫力が強いけど、肺炎や食中毒にかかりやすいため、集団には入ろうとしない傾向があって、自由奔放な性格。
AB型はもっとも免疫力が弱いグループ。感染症全般にかかりやすいので多くの人との接触をさける内向的な性格・・・というように。
A型はなぜ生まれた?
ところで、このような血液型の違いは、なぜ起きたのでしょうか。あまり知られていませんが、血液型の違いは、ヒトだけの特徴ではありません。オラウータン(A,B,O,AB)などの霊長類、ヒキガエル(AB)などの両生類、ゴボウ(O)やソバ(AB)などの植物、そして大腸菌(A,B,O)などの細菌にも血液型があります。人類は、もともとO型で、クロマニヨン人も全員O型で、A型やB型はいませんでした。
ではなぜ、A型の人が出現したのでしょうか。それは腸内細菌が関係しています。
私たちのおなかの中には100兆個もの腸内細菌たちがすんでいます。この腸内細菌たちのおかげで、病原菌の体内への侵入が防御されたり、免疫がととのったり、人体に必要な栄養素がつくり出されたりしています。
このありがたい腸内細菌に、A型物質やB型物質を持つものがいます。これらの腸内細菌は、人類がヒトに進化する前からずっとおなかの中にすんでいました。その長い共生の歴史の中で、腸内細菌がもつA型物質やB型物質の遺伝がもつA型物質やB型物質の遺伝子が、ヒトの体内にもぐり込む「遺伝子移入」が起こったのです。
その結果、A型やB型の血液型を持つ人が出現したというわけです。それらが混血することでAB型も誕生しました。
profile
藤田 紘一郎(ふじたこういちろう)[1939ー2021]
藤田 紘一郎(ふじたこういちろう)[1939ー2021]
東京医科歯科大学名誉教授、医学博士。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。マラリア、フィラリアなどの免疫研究のかたわら、「寄生虫体内アレルゲン」、「ATLウイルスの電線経路」の発見など多くの業績をあげる。また免疫学を下敷きにしたユニークなエッセイストとしても活躍。著書に『笑うカイチュウ』(講談社・科学出版賞)、『清潔はビョーキだ』(朝日文庫)、『腸内革命』(海竜社)、『病気にならない乳酸菌生活』(PHP文庫)、『腸で寿命を延ばす人、縮める人』(ワニブックス)など多数
当社は“腸の大切さをより多くの方にお伝えしたい”という先生のご意思に共感し、先生が長年続けてこられた啓蒙活動を少しでも引き継ぐべく活動してまいります。(藤田先生のご家族にもご了承いただいております)
なお、藤田先生のご出身大学であり、名誉教授も務められていた東京医科歯科大学の基金の理念にも賛同し、医学生育成にも微力ながら支援してまいります。
株式会社ビーアンドエス・コーポレーション
- No.15 ≪究極のウンチ≫ 究極のウンチからはじまる幸せの毎日 腸内細菌の大切さを伝え続けた藤田紘一郎先生。先生がいつもニコニコ穏やかであった秘訣とは?取材時に先生からお聞きした2つの秘訣について、詳しくお届けします。
- No.14 ≪リーキーガット症候群≫ リーキーガット症候群(腸もれ?)あなたは大丈夫?! 心と体に不調はありませんか? あるようなら、腸に穴があいているかもしれません。リーキーガット症候群と言われている心身の不調や様々な病気につながるトラブルの原因と対策とは?
- No.13 《最新試験データ》 腸内環境が改善すると、便秘・便臭のお悩みも解決 「乳酸菌生成エキス」は、何日間飲めば、カラダは変わる? 体感する? 便秘傾向女性30人による、試験結果が出ました!
- No.12《自然免疫》 「自然免疫」を高めること。今はそれが大優先 大きく分けて2種の免疫グループのうち、特に大切な「自然免疫」グループ。その高め方とは?
- No.11 ≪免疫力≫ 腸をキレイにして免疫力を手にいれる! ウイルスに限らず、あらゆる病気を防ぎ、健康に生きていくためには?
- No.10 ≪腸内細菌と血液型≫ 血液型と腸との不思議な関係 あなたは何型? 血液型によってかかりやすい病気がある!?
- No.9 ≪感染予防≫ 【特別編】 コロナ禍での、日常との向き合い方 Q&A こんな時こそできることをやろう。そして、TVの見すぎに注意して、腸を大切に!
- No.8 ≪感染予防≫ 【新型コロナウイルス】やるべきことをやって、うつらない、うつさない 不安になる「新型コロナウイルス肺炎」。でもただ怯えるだけではダメ!自分で今すぐ実行できる対策とは?!
- No.7 ≪ウンチ≫ 免疫力は、ウンチの量で決まる?! ウンチを見れば、その人の健康状態がわかる!
- No.6 ≪風邪予防≫ 風邪予防は、「手洗い」「うがい」を熱心にしないこと 過剰な“洗いすぎ “が、あなたの腸内細菌をダメにする!
- No.5 ≪アレルギー≫ 「浮気者」はアレルギーになりにくい 「好きだから!」と、ひたすら愛し続けるのはダメ。その一途さがアダになる!
- No.4 ≪夏バテ≫ 夏バテは負の連鎖からやってくる 夏バテは、「自律神経の乱れ」と「腸機能の低下」、この2つの負の連鎖によるもの。断ち切るためには?!
- No.3 ≪安全性と有効性≫ 「乳酸菌生成エキス」を愛用サプリにしているわけ サプリを選ぶときは、きちんと科学的な研究がされ、安全性と有効性が確保されているかを確認しましょう!
- No.2 ≪腸内細菌とアンチエイジング≫ シミ、しわ、たるみも「腸内細菌」が解決! お肌に欠かせないビタミン、実は腸内で細菌たちがせっせと作ってます。 だから大事にしないといけないのです!
- No.1 ≪はじめに≫ 腸内が変われば、人生は変わる! 肥満に糖尿、うす毛まで解決!肌ツヤも出てきた!私が実践した、たった「2つ」とは?